なくしたものとか、見つけたものを、音楽とか、文章とか、絵画にしてみました。
ひょっとしたら、なくしたものが、見つかるかもしれません。

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【文】一番星、黒猫、および、僕

大した話ではないのですが(笑)、
僕は、曲を書くときに2つのパターンがあって。

1つはぱっと思いついた歌詞とメロディーを口ずさんでるうちにどんどんできちゃうパターン。(「自転車に乗って君の街に行こう」や「メロンパンの歌」とか)
もう1つは、物語を書いてそこから曲ができるパターン。
月光」や「夢を見た。桜舞う、月の夜に。」はこっち。

 

今回は「月光」の下敷きになった文章を。

超短いです(笑)。


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【一番星、黒猫、および、僕】

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その日、僕は黒猫と一緒に、とぼとぼと日暮れ時の道を歩いていた。
いつもの駐車場をショートカットする道だ。

  ・・・

 「一番星か。」

僕は、そう言って立ち止まった。

 「あんなに近く見えるけど、本当はすっごい遠いところにあるんだぜ。」

黒猫は退屈そうに前足を舐めながらそう言った。

 「知ってる。」

 「宝石と違って掌に載せたりすることもできないんだ。」

 「うん。それも知ってる。」

 「じゃあ、なんでそんなに嬉しそうにしているんだ?」

  ・・・

黒猫はしばらくじっとしていたけど、駐車場の隣の石垣を駆け上がって垣根の向こうに消えていった。
垣根をくぐるとき、ちら、とこちらを見たけど、何も言わずにそのまま帰っていった。

 「あんたの人生だ。あんたの好きにするがいいさ。」

黒猫がどこかでそう言ってるような気がした。

  ・・・

僕は、荷物を持って歩き始めることにするよ。
僕にだってまだできることはあるさ。
君だってそう思うだろう?

ダウンのファスナーを一番上まで上げて、急に冷たくなった風が入らないようにして早足で歩いた。

空はどんどん暗くなり、一番星はもっとはっきり見えるようになった。

二番目の星はまだ見えない。